アプリソリューション本部コンサルタントの八木です!
今回はYouTubeチャンネルの登録者数は100万人を超える、エンタメと知を融合させたメディア「QuizKnock」。彼らのYouTubeチャンネルで人気のコンテンツ「限界しりとり」のアプリ版を開発したエンジニアさんにインタビューしました!
指定された文字数のワードでしりとりを行い、先に持ち時間がなくなったほうが負け、というシンプルなゲームです。
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お話を伺ったのは・・・
株式会社baton サーバーサイドエンジニア
丸尾恭四郎氏
株式会社baton フロントエンドエンジニア
藤田隼輝氏
株式会社batonについて
八木:自己紹介をお願いします!
藤田さん:株式会社batonでエンジニアをやっている藤田です。ファルコンと呼ばれています(笑)。会社としては『教育』コンテンツをメインの事業として取り扱っております。掲げているビジョンは『楽しいから始まる学び』です!
batonに所属して6年目になりますが、最初の頃は学習アプリやクイズソーシャルゲームなどを作っていました。今はYouTubeチャンネルの「QuizKnock」を運営しながら、アプリ開発も行っています。
丸尾さん:丸尾です。baton社ではアルバイトとして働いています。東大の大学院の修士課程2年目の学生です!以前、自動車教習所のテスト勉強アプリをファルコンと一緒に作って、それがきっかけでbaton社に誘われました。ファルコンがフロントエンド、僕がサーバーサイドで開発をしています。
八木:ありがとうございます!「限界しりとり」のコンテンツもお二人で考えたのですか?
藤田さん:QuizKnockのウェブ記事やYouTubeで展開している「限界しりとり」という人気コンテンツがあります。それをそのままアプリ化しました!
八木:そうだったんですね!いつもYouTube拝見させて頂いてます。
株式会社batonが運営する知的メディア。東京大学のメンバーを中心に、Webメディアのほか、YouTubeチャンネルを運営している。YouTubeでは、ガチンコクイズや盛り上がるゲーム、激ムズ入試問題など様々な無理難題に対し、頭脳と根性で挑戦している。
QuizKnock YouTubeチャンネル
開発しているアプリの紹介
八木:今まで開発してきたアプリについて教えてください!
藤田さん:立ち上げ初期に作った「チノクライシス」と「限界しりとりMobile」です。あと最近では英語版の「限界しりとりMobile」も開発しました。
八木:英語版も開発されたのですね!海外ユーザー向けの場合、ルールは変わりますか?
藤田さん:基本的なルールは一緒です。ただ、英単語でしりとりをしなければいけないので、日本人にはちょっと難しいかもしれません。「Jの10文字」などとかがお題で出てきます(笑)。これを日本人向けではなく、海外ユーザー向けに配信できればと思っています。
八木:難しそうですね……、しりとりは海外でもありますか?
藤田:「tale to nose」という名前の似たような遊びはあるんですが、日本のしりとりほどには浸透していないみたいです。ある意味チャンスかなと。
八木:おお!楽しいので是非流行ってほしいですね!アプリはお二人だけで開発しているのですか?
藤田:僕を含めて開発に携わる社員が3人いて、さらに学生のアルバイトがたくさん関わってくれています。学生たちには、空き時間に手伝ってもらっています。
八木:学生の方が多いんですね(笑)
丸尾:そうですね。アプリやYouTubeなどクリエイティブな部分には、学生ならではの発想が活かされていると思います。
限界しりとりMobile制作秘話
八木:制作秘話をお聞かせください!なぜ「限界しりとりMobile」を作るようになったんですか?
藤田さん:これまで、QuizKnockは動画の広告で収益をあげるモデルでやってきていましたが、動画を見て楽しむだけでなく、実際にやって楽しむという体験を提供できるアプリの事業化も追求していこう、という話になりました。その目標を一番早く達成するにはどうすればいいのか?を考えたときに、コンテンツが完成されている「限界しりとり」をアプリ化して出したらどうか、という話になったんです。
八木:なるほど・・・・・・、制作期間はどのくらいでしたか?
藤田さん:大体2日間くらいで大枠を作って、次の日には社内でテストプレイをしてもらいました。それから微調整をしつつ1ヶ月間くらい寝かせてからリリースしました。
八木:開発スピート早すぎですね!
藤田さん:丸尾が修士課程で忙しかったので、空いている土日の2日間を使って開発しました。良いペースで作れましたね。YouTubeのチャンネルで既に存在していたコンテンツをアプリ化し、微調整するだけだったので、スムーズでした。普通であればコンテンツ作成に時間を割くことが多いと思いますが、既に他の媒体で好評を得ているコンテンツを持っているのがよかったですね。
八木:早すぎてびっくりしてます(笑)(さすが東大生…)
たしかに、アプリを作成する上で、キャラクター作成やストーリー作成などのコンテンツに時間を割くことはよく耳にします。自社コンテンツをどんどん利用していけば制作期間の短縮ができ、開発のみに注力することが出来ますね!
丸尾:そうですね、ここがコンテンツを既に持っている会社ならではの強みなのではないかなと思います。
プロモーションもそのままYouTubeチャンネルを活用しました。内容としてはQuizKnockメンバーが「限界しりとりMobile」を使ってトーナメント形式で戦う内容の動画を作成し、プロモーション目的でアップしました。
ただ宣伝するのではなく、どんなアプリなのかを具体的に知ってもらうため、実際にプレイした動画を撮ったんです。これが功を奏して、リリース後すぐに30万ダウンロードを突破することができました。
八木:コンテンツだけでなく、独自のチャネルを活用することで広告費をかけずにダウンロード数を増やすことができ、また、告知ではなく実際にプレイした動画にすることで、アプリの「おもしろさ」が伝わってダウンロードまで繋がったわけですね。詳細な情報ありがとうございます!
八木:制作期間の中で苦労したエピソードはありますか?
丸尾:制作中というよりは制作後が結構大変でしたね。リリース直後にYouTubeで告知を出したのですが、その日だけで30万ダウンロードを突破してしまいました。想定以上のダウンロード数でサーバーに負荷がかかってしまい、半日くらいオンライン対戦の自動マッチング機能が使えなくなってしまいました。すぐに対応して復旧させましたが、さすがにあの時は大変でした。
藤田:ただこれがユーザーを伸ばせた機会でもあったんですよね。自動マッチング機能が使えなくなったので、Twitterで対戦相手を募集するユーザーが増えました。「#限界しりとりMobile」というハッシュタグをつけて対戦相手を募集する投稿をして頂いた結果、「限界しりとりMobile」というワードがTwitterでトレンド入りしました。これがきっかけで認知度が上がり、更にダウンロード数が増えたんです。怪我の功名という感じですが、Twitterを使ったプロモーション方法も集客チャネルとしても有効だと思ったので、次に活かしていきたいですね。
八木:なるほど・・・・・・、YouTubeチャンネルでの告知、Twitterからのオーガニック流入などの独自チャネルを有効的に活用することで、広告費をかけずにユーザー数を増やすことができたわけのですね。対戦相手の募集だけでなく、ゲームのプレイ結果の共有や、ハッシュタグ投稿でアイテムを付与するような仕組みを作れば更に認知度を上げることができ、オーガニックでの流入が増えそうですね!
他に何か苦労されたことはありますか?
藤田:リリース後に「○○の単語がない」っていう問い合わせが多かったですね。
八木:そこは確かに対応が難しそうです。限界しりとり内には沢山の単語が登録されてますよね。この登録フローなどあれば教えて下さい!
藤田:語彙はほとんどMeCabという形態素解析エンジンに使用されている辞書「mecab-ipadic-NEoload」を使用することでカバーしています。ただ、それでも足りない単語は出てくるので、まずは問い合わせが来たもののなかから、確実に世の中にある単語を追加していきました。他は手が空いたメンバーが調べて、その都度辞書登録をしています。定期的に僕達も1つ1つ調べて登録をしています。
丸尾:とはいうもののえ、手動で登録していくとどうしても工数がかかってしまうので、ユーザーが入力しても使えなかった単語を全てログとして残して、数回以上検知したら辞書に登録するような仕組みも作りました。
八木:そんな努力を裏でなされていたんですね・・・・・・。実際に遊んだ時に、きわどい単語を入力したことがあったのですが使えたのでびっくりしました!
藤田:かなりマイナーな言葉も登録するようにしています。例えば「るるるるる」という絵本が実際にあるのですが、それも登録されています。
八木:なるほど、そこがアプリを運営する上で大切な部分になるのでしょうか?
藤田:そうですね!これ以外にもアプリの中に「しりとり歴」という自分が使った単語を履歴に残す機能があって、言葉をタップするとGoogle検索に飛べるようになっています。
「教育」の会社ですので、対戦相手が知らない単語を使ってきたら後から調べられるような工夫をしています。
八木:遊びながら学べるという工夫がゲームに盛り込まれてるんですね!
今後の方針や展望
八木:今後の方針についてお聞かせ下さい!新作アプリを制作される予定はありますか?
藤田さん:「限界しりとりMobile」のような、YouTubeで出したコンテンツのアプリ化はコストパフォーマンスが良いので、今後も続けていきたいですね。ただその一方で、開発陣のオリジナルアプリもどんどん作っていく予定です。例えば直近だと「wallprime」という素因数分解をして壁を壊して進んでいくゲームアプリをリリースしました。
八木:高校生など楽しみながら出来そうで良いですね!
丸尾:そうですね!今後はライトなカジュアルゲームを作っていきます。大きいアプリを1つというより、思いついたらどんどん作って、ノンバーバル(非言語)なハイパーカジュアルゲームをどんどん開発していくイメージです。
藤田:また売上が伸びてきたら、ゲームに限らず、いろいろなコンテンツを作っていきたいですね!会社のモットーにもなっている『楽しいから始まる学び』を前提に、webメディアも盛り上げていって、あらゆるところを横断していくコンテンツを作りたいです。
八木:ありがとうございます!では最後に読者へ一言よろしくお願いします!
丸尾:今後もどんどん楽しく知的なアプリを作っていくので楽しみにしていてください!!