2016年10月末にニューヨークで開催されたプログラマティック広告のカンファレンス「Programmatic i/o」。今回fluctから執行役員の今井が参加してきたので、イベントの内容をレポートしたいと思います!
本記事はイベントレポートの前編です。後編はこちらからご覧いただけます。
Programmatic i/oとは
Programmatic i/oとは、年に2回、サンフランシスコとニューヨークで開催されるプログラマティック広告をテーマとしたカンファレンスで、主催はデジタルマーケティングに関する情報を発信するAdExchangerです。
今回の「Programmatic i/o NY」は、2016年10月26日と27日の2日間にわたってタイムズスクエアから徒歩2分の場所に立地するニューヨーク・マリオット・マーキスというホテルで開催されました。2日間の来場者は1,100名以上、登壇者は50名以上で、世界中のプログラマティック広告に関心を持つエージェンシーやメディア、広告主、ベンダーが集まりました。
なお、今回から、1日目は【Programmatic Essential Workshop】【Programmatic Ops Talk】について2つの会場に分かれるプログラムになっており、OpsTalkの方に参加しました。
以下は、セッションの一覧(タイトルのみ)です。話される議題が多岐にわたることと、この2日間がいかに濃密な時間だったのか、がお分かり頂けるのではないかと思います。
一日目(Essential Workshop)
- Activating First Party Data At Scale
- Programmatic Outstream
- Networking Break
- Digital Marketing Hub: The Great Promise of Data, Tech and Advertising?
- How To Activate Your Audiences Across Channels And Devices Using Authoritative Data
- Lunch
- Becoming Programmatically Enabled: Driving Necessary Organizational Changes
- The Data Balancing Act: Does Precision Targeting Truly Tip the ROI Scale?
- Networking Break
- Why PMP Has Meant Private Marketplace Pain For Too Many Today
- Programmatic Media: So What! Now What?
一日目(Ops Talk)
- Header Bidding Live, A Step-by-Step Demo
- How To Manage Tech Debt: When To Cut Your Losses And Where To Cut Corners
- Networking Break
- Inventory Quality
- How To Make The Most Of Server-Side Ad Insertion
- Lunch
- Effective Learning: How To Cultivate Talent In Programmatic Buying
- Driving Programmatic Results By Managing Internet Performance To The Millisecond With Dyn And Cox Media
- Networking Break
- User Exposure Targeting: Reaching, Engaging And Converting More Effectively
- Native Ads Best Practices For Mobile
二日目
- Welcome
- Making The Programmatic Case
- Reading The Investor Tea Leaves
- Paying The Price For Not Valuing Attention
- Walled Programmatic
- Networking Break
- The CPG In View
- Finding The Effective Programmatic Partner
- Partnering On The Addressable Future
- Advancing Linear TV
- Lunch
- Exploring Solutions To The Fraud Phenomenon
- Software Is Making Advertising Simpler
- Googling Programmatic
- A Programmatic Partnership: 360i and Pernod Ricard
- Networking Break
- The Seller’s New Calculus
- Programmatic TV: Real Or Hype?
- The Power Of First-Party Data
- A Conversation With The New IBM
- Happy Hour
ピックアップキーワード
実際に参加してみて、いくつか目立っていたキーワードごとに、簡単に話されていたこと、感じたこと、日本との違いをまとめてみます。
Inventory Quality(在庫の質)
今回、どのセッションでも話題に上がっていたのがこの「在庫の質」の問題です。アメリカの広告主・代理店・メディアは、日本以上にAdFraud(アドフラウド)やViewability(ビューアビリティ)を重要視しており、いかに信頼性高く「ビューアブル」な広告枠を通じて「人間」に広告を配信するかを議論していました。定義として、CPMにHumanとViewableを加えた「CPHVM」という概念も出る程でした。
「The Ad Industry’s Focus on Fraud Has Intensified」内のeMarketerの調査結果より転載
Header Bidding(ヘッダービディング)
様々なセッションの中でも最新手法として挙げられたワードがHeader Bidding(ヘッダービディング)です。ヘッダービディングが登場した背景にはGoogle社が提供するDFP(DoubleClick for Publishers)のシェアが拡大し、他ベンダーが広告を配信する機会が得られないという事情や、現在主流となっているRTB取引がウォーターフォール型で行われているといった事情があります。ヘッダービディングではDFPよりも先にRTBの取引が複数のDSPで同時に行われるため、広告主はメディアの全広告枠在庫にターゲットとなるユーザーが訪れたらブランドメッセージを届けることが可能になります。またメディア側は、DSPから来る入札をフラットにオークションすることができるため、煩雑な運用作業が減り、かつ適正価格を判断することが簡単になります。このようなことからヘッダービディングを使ってしっかりとターゲットのユーザーを買い付けることの重要性が語られました。
AppNexus社Ben氏のProgrammatic i/o ny資料より
対して登壇者として参加したGoogleの担当者は「世の中のヘッダービディングの流れにGoogleはどう感じているか?」という質問に対し、「ヘッダービディングでは広告主サイドのレイテンシー問題が発生するので、Googleは同じ課題に対してExchange Bidding(エクスチェンジビディング)を強化することで、ユーザー体験を損ねないものにする」と語っていました。
後編は「Audience Targeting(オーディエンスターゲティング)」・「Video/TV Ads(動画広告、テレビ広告)」・「Latency(レイテンシー)」に関する内容をお伝えします!