本稿は、App Ape Lab に掲載された記事を転載したものです。
今回は、女性向けメディアアプリについてMAU(月間アクティブユーザー数)を調査しランキングを作成しました。
女性向けメディアのメインプレイヤーを把握すると同時に、トップランナーにその運営方法のノウハウや女性向けメディアの今後についてのお話を伺います。
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女性向けメディアアプリMAUランキング
今回調査対象としたアプリは以下の8アプリです。(五十音順)
- C CHANNEL
- TRILL
- ハウコレ
- by.S
- MINE(マイン)
- LUCRA
- ローリエプレス
- LOCARI(ロカリ)
今回2017年8月のデータを元にApp Apeデータから調査、MAUはiOSとAndroidの合算値を算出しています。それでは早速ランキングをみていきましょう。
データ元: App Ape (国内約3万台のAndroid端末を分析)
アクティブユーザー数はiOS/Androidの合算値
MAU (Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数であり、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数
調査の結果、1位は「LOCARI」、2位「TRILL」が飛び抜けてMAUが高い結果になりました。続いて「C CHANNEL」、「by.S」、「ローリエ」、「ハウコレ」、「LUCRA」、「MINE」の順となります。
各メディア、ターゲティングやコンテンツの内容が異なりますが、「LOCARI」が女性向けメディアとして最も多くのユーザーから支持されていると言えるでしょう。
ランキング1位のLOCARI担当へインタビュー
ランキングNo.1となったLOCARIの運営元である株式会社Wondershakeマーケティング担当小林様(以下、敬称略)へインタビューを実施し、マーケティング施策や運営方法に関してお話を伺いました。
LOCARIが女性メディアアプリMAU1位になりましたが、ユーザー拡大のために実施し、成功したマーケティング施策のポイントを教えてください
小林:LOCARIはこれまでデジタルマーケティングを中心にユーザーを拡大しており、なかでも”継続率の高いユーザーを獲得する”ことに注力してきました。実施した施策は多くありますが、その中で重視しているポイントは次の2点です。
LOCARIのブランド・世界観に合った広告バナー等のクリエイティブを開発すること
1点目はLOCARI世界観に合った広告バナーなどのクリエイティブ開発です。
アプリをインストールした後にユーザーと記事との親和性が低く、離脱されてはもったいないので、ただインストールされやすいクリエイティブを投下するのではなく、LOCARIのブランドや世界観に合うクリエイティブをスピード感もって制作するということを意識しています。
ユーザー×カテゴリにおいても継続率は大きく異なりますので、どのようなユーザーにとってどのような訴求が刺さるのかを常時検証しています。週次でLOCARI内の人気記事を元にクリエイティブを制作し、制作スピードを早め、仮説検証を繰り返してヒットクリエイティブを量産できたことが成功要因の一つです。
LOCARIの世界観・ブランドを共有するためにどのようなことを行っていますか?
小林:現在、広告バナーのクリエイティブは代理店の方にお任せしていますので、LOCARIの世界観を共有できるようにクリエイティブガイドラインを作成しています。ガイドラインの内容は表現の規定、画像やテキストのOK・NG集を一覧にしています。ガイドラインを共有することで代理店の方にLOCARIの世界観を理解していただき、スムーズなクリエイティブ制作ができるようにしています。
LOCARIユーザー予備軍を常に探す
小林:2点目はLOCARIユーザー予備軍のいるチャネルを開拓し続けていることです。
デジタルマーケティングの中で今までかなりのチャネルでのプロモーションを実施してきました。各チャネルによってその先にいるユーザーは大きく異なりますので、試行錯誤を繰り返しながら様々なチャネル開拓に取り組んでいます。その結果LOCARIとしてユーザーの幅の拡大に繋がったと考えています。
チャネル開拓においても、意識しているのはクリエイティブです。チャネルによって広告の表示されるユーザーは異なりますので、あらゆる角度から仮説検証を繰り返して継続率の高いユーザーの獲得に取り組んでいます。
スマホアプリの利点はロイヤリティの高いユーザーを確保できること
Webとアプリ、ユーザーの反応違いはありますか?またアプリを運用することの利点を教えてください
小林:Web単体でやっていた時期もありましたが、LOCARIではメディア立ち上げ初期よりアプリに注力してきました。その結果、LOCARIを日常的に使ってくださるアプリユーザーを確保できつつあると感じています。Webよりもアプリの方がユーザーの滞在時間も圧倒的に長く、LOCARIへのロイヤリティという点ではアプリユーザーの方がWebよりも高いと思います。
それはアプリの機能的な部分も寄与しているのでしょうか?
小林:あると思います。例えばLOCARIでは1日に2回プッシュ通知を送っていますが、配信する時間とその日のトレンドに合わせてプッシュ通知の内容を変えています。そのようなアプリならではの機能を活用することで、よりユーザーに対するロイヤリティ醸成に貢献できていると思います。
App ApeでLOCARIの時間帯別アクティブユーザー数(HAU)をみると昼、夜(12時,19時)にユーザーの利用のピークが見えますが、プッシュ通知の効果的な使い方を教えてください。
小林:LOCARIは25歳以上の女性がターゲットなので、働いている方や家事や育児をされている方がほっと一息入れられるような時間帯を狙ってプッシュ通知をしています。12時でしたら仕事や家事の合間、19時でしたら帰りの電車や晩御飯の支度が終わった後などに見てもらえるような時間にしており、ユーザーの生活に寄り添った時間の設定と配信時間に合わせた記事の選定を行っています。
女性メディアアプリのマーケティングで気をつけるべきこと
女性メディアアプリのマーケティングを担当する上で気をつけるべきことや心がけているポイントがあれば教えてください
小林:繰り返しになってしまいますが、LOCARIの世界観とクリエイティブを揃えるということはとても意識をしています。LOCARIの世界観とクリエイティブの整合性を合わせることが継続率の高いユーザーの獲得に繋がっていると思います。そのために、私自身“LOCARIらしさ”とは何なのかを常に向き合い続けることが大事だと思います。
また、アプリという点においてWebはクリックしたらすぐ情報が読めますが、アプリはインストールした後さらにアプリを開くというアクションが必要になるので、Webよりもハードルが高いと思います。そのために最初の接触で直感的に「なんか読んでみたいかも」「面白そう」などインストールしたくなる(記事を読みたくなる)クリエイティブや訴求作りを意識しています。
クリエイティブ内で情報を伝えすぎてしまうと、その情報だけで満足されアプリへ遷移されなかったり、ユーザーに理解されずスルーされてしまうため、
- LOCARIらしさを体現できる画像の選定
- ユーザーが自分ゴト化できるような訴求(記事)の選定
- シンプルなメッセージ
上記3つのポイントを意識して、
LOCARIの面白さやメリットを伝えられるようにしています。
女性向けメディアの今後と変化への対応に関して
女性向けメディアはこれからどう変化していくとお考えですか?その中でLOCARIの立ち位置はどのように変化していくと思いますか
小林:昨今の女性向けメディアはカテゴリ特化した、より“女性の悩みを解決する”メディアが多く生まれてきていると思います。今後その中でLOCARIはライフスタイルメディアとして様々なカテゴリを扱い、総合的に女性のライフスタイルに寄り添えるようなメディアでありたいと思います。
今後も動画であったり時代に合わせて情報提供の形は変化していくとは思いますが、ユーザーにとって必要な情報をわかりやすく提供できる方法を、ユーザーに寄り添いながら考えていきたいと思います。
女性メディアは流行の移り変わりが早いと聞きますが、その変化にどのように対応されていますか?
小林:LOCARIには編集部がありますので、編集部内で情報のキャッチアップをして、流行やトレンドに合わせた記事を作成しています。もうひとつ、LOCARIではコンスタントにユーザーインタビューを実施していますので、ユーザーの意見を聞き改善すべき点や、今後記事として必要な情報をいただき、ユーザーにとって必要なメディアであり続けられるようにしています。
LOCARIの今後の展望があれば教えてください
小林:私たちはLOCARIが大好きなので、より多くの人に使って頂けるように引き続きがんばっていきたいと思います。
また、数値などの規模ももちろん大切ですが、これまで以上に面白い記事、役に立つ記事をユーザー目線で届けていきたいです。
App Ape Lab:本日はありがとうございました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回インタビューをさせていただいた、女性向けメディアアプリNo.1のLOCARIさんの「ユーザーファースト」へのこだわりを強く感じることができました。徹底的な「ユーザーファースト」の追及が、今のアプリユーザー層に求められているのかもしれません。デバイスが変化し、ユーザーがメディアに求めるものが変化しつつある中、メディアがどう変容していくのかApp Ape Labでは今後も注目して参りたいと思います。