いま話題のヘッダービディングとは何か?-Real-Time Real Talk:ヘッダービディングの基礎講座-

いま話題のヘッダービディングとは何か?-Real-Time Real Talk:ヘッダービディングの基礎講座-

昨年から名前を聞くようになった「ヘッダービディング」。海外メディアではすでに導入している企業も多く、一部ではメディアの救世主とも噂されているヘッダービディングとは一体どのようなものなのでしょうか。
今回はAppNexus社のブログからヘッダービディングを学んでいきたいと思います。
「Real-Time Real Talk」は、AppNexus社が運営するブログ「The AppNexus Impressionist」の中で、革新するアドテクの背景にある「何が」「なぜ」「どのように」を追求する連載シリーズです。


Real-Time Real Talk: Header Bidding 101
ヘッダービディングとは、パブリッシャー(メディア)がWebサイトの広告枠をマネタイズする際に、複数のアドエクスチェンジを並列に繋ぎこむことで、従来よりも効率的に収益化を図る方法です。

ヘッダービディングで重要なポイントとは?

デジタルマーケティングにおいて、パブリッシャーは自社の広告枠をマネタイズするために1つのアドエクスチェンジを使用することが一般的となっています。このように広告枠に対し1つのアドエクスチェンジを利用することは、パブリッシャーにとって簡単かつ効率的に広告枠をマネタイズできているように見えるので、良い方法に思えるかもしれません。この従来の方法でパブリッシャーがしなければならないことは、そのアドエクスチェンジの運用方針を決めること、うまくいった広告配信結果を月次で集計するだけです。
しかし、アドエクスチェンジを1つだけに絞ることで、パブリッシャーは知らず知らずのうちにインプレッションの価値を下げてしまっているのです。

  1. プレミアムな広告在庫の配信を1つのアドエクスチェンジに絞り込むことで、1つのアドエクスチェンジに広告収入の大部分を依存してしまいます。つまり、そのアドエクスチェンジの成果によって収益が大きく変動してしまいます。
  2. アドエクスチェンジは、広告配信を望んでいないパブリッシャーのみならず、そうしたインプレッションに入札したい広告主にも手数料が発生します。その結果、パブリッシャーの広告収入は、ほとんどマネタイズできないほどまで削り取られてしまいかねません。
  3. 広告枠に入札したい広告主がアドエクスチェンジに接続しているDSPにいない場合、パブリッシャーはウォーターフォール(下へ下へと順番に流れる川)のような、広告主が見つかるまで1件1件アドネットワークに通知し配信する広告があるかどうか確認する作業をしなくてはなりません。そのため、広告主を探すために広告のリクエストを送っている間、パブリッシャーのWebサイトは広告のロードを続けるため「レイテンシー」(広告ロード時間の遅延)の問題が起こります。この広告ロード時間の遅延によって、せっかちなユーザーはより速く情報が見られるWebサイトへと離脱する恐れがあります。

まとめると、1つのアドエクスチェンジを利用するのは一見効率よく見えるかもしれませんが、実態は、パブリッシャーは適切な広告を表示出来ておらず、かつ必要以上の手数料が取られ、そしてWebサイトの表示スピードが遅くなるレイテンシーの問題まで抱えている状態なのです。

ではどうしたら良いのでしょうか?

これらの問題はヘッダービディングという仕組みで解決することが出来ます。WebサイトにJavaScriptを埋め込めば、パブリッシャーはヘッダービディングを使って、複数のエクスチェンジに対し一斉に広告リクエストを送ることができます。しかも、アドエクスチェンジ側に同タイミングで広告のリクエストが送られるので、同一のインプレッションに対して全く同じタイミングで入札することが可能です。
ヘッダービディングはパブリッシャーにとって主に3つのメリットがあります。

  1. 1インプレッションに対し複数のアドエクスチェンジから同時に入札することができるため、配信される広告は純粋な競争で決定され、パブリッシャーはそのインプレッションの本来の価格を知ることができます。これによって、パブリッシャーはどのアドエクスチェンジからの入札が高いのか一目瞭然です。
  2. インプレッションの価値をパブリッシャーが決められるようになるので、そのインプレッションに一番高い金額で入札する広告主またはDSPを見極めることが出来ます。技術的な話をお知りになりたい方は、こちらのリンクをご参照ください。
  3. ヘッダービディングは従来のウォーターフォールの仕組みが引き起こしていたレイテンシーを大きく改善します。ヘッダービディングでは、ネットワークへの広告リクエストを1つずつ順番に繰り返すのではなく、各ネットワークに一斉に広告リクエストを行うので、広告のリクエストの頻度を大幅に減らせます。

実際にヘッダービディングとはどのような仕組みなのでしょうか?

Prebid.js(ヘッダービディングを実現するために開発されたオープンソースのプログラム)は、デジタル・パブリッシャーが簡単に複数のヘッダービディングのパートナーと同時に連携できるJavaScriptです。Prebid.jsの設定は、1つのアドエクスチェンジとの取引してるときほど短時間で始められるものではありませんが、時間が少し多くかかっても始める価値があります。設定は何週間・何か月もかかる訳ではなく、ほんの数時間ですので、長期的に見れば、Prebid.jsを設定するメリットは計り知れません。Prebid.jsによって、1インプレッションに対して複数のネットワークから入札があるため、パブリッシャーは収益の増加が期待できます。しかも、入札するDSP側から見れば、パブリッシャーが提供する在庫に対してフェアな競争をすることができます。(補足:従来のウォーターフォール方式では、先に広告リスエストを受けるネットワークが先に広告の買い付けを行うことが出来たため、川下に接続されたネットワークはいくら高単価な広告を持っていても入札することが出来なかった)また、広告ロード時もパブリッシャーのWebサイトは遅くなりません。Prebid.jsを始める作業はパブリッシャーにとって、とても分かりやすいものです。
Prebid.jsのJavaScriptがたとえベンダー独自のものではないとしても、正しくインストールすれば、画期的な変革(そして救いの手)となるでしょう。デジタルパブリッシャーは、Webサイトの収益を増加させることができ、ビジネスが成長する可能性が広がります。
 


本記事は、「Real-Time Real Talk: Header Bidding 101」を当社が許可を得て翻訳したものです。本記事の内容や見解はAppNexus社のものであり、当社のものではございませんのでご了承ください。
This article is translated from “The AppNexus Impressionist” and published with permission from AppNeuxs. The original copyright is held by AppNexus.
The original article: Real-Time Real Talk: Header Bidding 101

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